病理診断

日本医科大学付属病院病理診断科では、患者さんからの採取された組織や細胞の病理診断、臨床各科との合同カンファレンスなどの業務を行い、臨床診療の一端を担っています。部長である大橋をはじめ、当教室のスタッフの多くは、病理診断科と兼務して、質の高い病理診断を行っています。病理部の検査技師とともに、正確で迅速な安心の医療を提供する努力を重ね、業務に取り組んでいます。

 病理診断には生検組織診断、手術検体組織診断、術中迅速診断、細胞診、病理解剖による剖検診断が含まれます。病理診断は医師のみが行うことのできる医行為であり、その対象は全身臓器に及びます。各診療科から提出された生検および手術検体、細胞診検体を顕微鏡下に形態診断を行い、必要に応じて特殊染色や免疫組織化学、遺伝子異常や治療標的分子の評価、電子顕微鏡による解析も加えた病理診断を行なっています。

 最近の年間病理診断実績は病理組織診断 12,000-15,000件、細胞診断12,000-14,000件、術中迅速組織診断 400-600件、病理解剖 30-40件です。これらの病理診断により、疾患の確定診断が行われ、治療方針の決定に重要な情報が提供されます。本院はがん診療連携拠点病院に指定されており、病理診断科では病理診断を通してがんの診断・治療のための根拠となる重要な情報を各臨床科へ提供しています。カンファレンスを通じた情報交換も積極的に行っており、診断精度の向上に努めています。

 当科では「病理外来」としてセカンドオピニオンをお受けしています。治療を受ける上でご自分の病理診断が下された標本についての説明を受けたい場合や、疑問点がある場合などには医療連携室を通してお申し込みいただけます。  また、大学病院としての使命として医師の教育があります。日常の診断業務の中で研修医や医学生への指導教育を行い、病理をよく理解した医師を育てることも病理診断科の重要な仕事です。日本医科大学付属病院は病理医の研修認定施設、細胞診専門医の研修施設にも認定されており、病理専門医の育成にも力を注いでいます。

 病理診断に関する診療ならびに教育に力を注ぎ、迅速で精度の高い医療情報を提供できるよう鋭意努力して参ります。

病理診断科 部長 大橋 隆治